3月のある大安吉日、F様邸の上棟祭(上棟式)が仏式で行われました。

筆者もこの場をお借りして、お祝い申し上げます。おめでとうございます。

ご住職様にお経を上げていただき、大変厳かな時を過ごさせていただきました。

そして、F様邸を建てさせていただくのは息もピッタリな親子大工さんです。


これまで親子で切磋琢磨しながら技術を磨き、頑張っておられます!

どうぞ安心してお任せいただきたいと思います。

この上棟祭は、無事に棟(むね)が上がったことを互いに喜び、感謝するもので
工事に関わった人々が一堂に会し、今後の工事の安全を祈願し、みんなで協力して
すばらしい家を造り上げていきましょう、とする意思表示の場ともなる祭事です。

地域によって違いがあるでしょうが、この辺りでも飲酒が厳しくなる前までは
式のあとに、「直会(なおらい)」といって、お施主様がご用意された祝い膳やお酒を
その場(吹きさらしの現場)で皆で囲んでいただき、
隣保の方にもお披露目をしながら、職方さんたちをもてなす「お祝い」の会をしたものです。

近頃は、ご近所通しのお付き合いも、神的な儀式への関心も薄れつつあり、
子供時代からこのような場に居合わす経験もほとんど無いことから、
建築会社からの説明ではじめて、建築における「儀式」の存在を知るお施主様が
ほとんどではないかと思います。

現代は信仰心を起点とした神仏への感謝や祈願といった側面を持たない人も
おられるでしょうし、世間体だけのためや、記念といった意味合いを持たせることにも
異議を唱える方がおられることと思います。

また、年間施工数の多い型式的な住宅を建てるハウスメーカーや
建売り住宅の会社では儀式そのものを省略することがあり、
家を建てるときに必ずしもしなくてはならない、
というものではないと考える人も増えてきました。
実際、職方も略式の上棟祭に不満は無く、
開催しなくともその仕事に差が出るものではありません。

加えて祭事である儀式にはある程度の費用や準備が必要なことや
日程の調整も必要なことから、行う場合は必要最小限でと、
簡略化する傾向を望むお施主様が増えてきているのも事実です。

また、今回のように寒い季節は本来の上棟祭とは異なる時機に
式を行うことも増えました。

屋根の野地板(のじいた:屋根の下地となる板)や床・壁下地も張り終わった後の方が
冷たい風にさらされることなく、お客様が体調を崩される心配が減り、
悪天候になった場合でも折角のおめでたい日を変更する必要がなくなります。

――このように、時代とともに変化して来ている住宅建築における祭事ですが、
家づくりに関わる者とすれば、今後どんな風にその祭事が縮小されようとも、
人の持つ心遣いや奥ゆかしさからくる感謝の気持ちと真心を反映する
日本文化のひとつとして継承されていけば良いのになあと思います。

そして、私たちがお客様に対して決して疎かにしてはならない一番大切なものも
感謝と真心です。